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人生100年時代の裏で静かに進む、労働半世紀時代の到来

人生100年時代というより労働半世紀時代

私は「人生100年時代」という言葉は大嫌いだ。もちろん、徐々に寿命が伸びる未来があることは認めるが、誰でも100歳まで生きられる保証などない。それなのに、「人生100年時代」という言葉が常識のように一人歩きし始めれば、政府や企業に都合よく利用される可能性が非常に高いからだ。

「人生100年時代」という言葉は、どこか明るく聞こえる。長く生きられる。健康寿命が延びる。定年後にも新しい人生がある。そんな無邪気で前向きな響きがある。しかし、庶民の現実から見れば、それは「人生100年時代」というより、「労働50年時代」の到来なのではないか。20歳前後で働き始め、70歳くらいまで何らかの形で働き続ける。気がつけば、半世紀ものあいだ、収入を作り続けなければならない社会になってきている。

労役40年から労役50年に刑期が伸びたサラリーマン

かつては「定年モデル」が人生設計の標準だった。会社に入り、40年ほど働き、60歳で定年を迎える。その後は退職金と年金で老後を過ごす。もちろん、誰にとっても理想的な仕組みだったわけではないが、少なくとも人生には「現役」と「老後」という明確な区切りがあった。

しかし、そのモデルはすでに消失しつつある。

これからの現実は、20歳から70歳くらいまで働く「定年レス時代」なのだろう。働く期間は40年から50年へ延び、現役と老後の境界は曖昧になった。60歳でゴールテープを切るはずだった人生は、いつの間にか、ゴールテープそのものを後ろへ動かされているというか、消えてだんだん見えなくなってしまった。

70歳まで働き、ようやく年金を受け取れると思ったら、一年ほどで人生が終わる。そんな人生も決して珍しくないのかもしれない。そう考えると、自由をすべて「老後」に先送りする「老後の夢」の人生設計は、あまりにも危うい。

半世紀も根性で走り続けるのは無理

では、どうすればいいのか。

労働50年時代には、20歳から70歳までを一本の直線として考えるのではなく、三部構成の物語として捉え直した方がよいのだと思う。

例えばこんな感じはどうだろうか。
第一部は、食べていくための能力を身につける時期(20-35歳)。第二部は、会社や組織への依存を少しずつ下げ、自分なりの収入源を複数持つ時期(35歳-50歳)。そして第三部は、体力や気力を削りすぎず、細く、軽く、長く働く時期(50歳以降)だ。

大切なのは、70歳まで根性だけで働き続けることではない。50年という長い労働人生の中で、どうすれば壊れず、縛られすぎず、小さな自由を確保しながら生きられるかを考えることだ。

老後にすべての自由を先送りするのではなく、働いている50年の中に、少しずつ自由を埋め込んでいく。労働半世紀時代の人生設計とは、長く働くための根性論ではない。半世紀の労働人生を、自分なりに組み替えていくための現実的な生存戦略が必要なのだと思う。

updated: 2026-07-09 21:10:23