page160: AIエージェントから人間エージェントになる時代
主客転倒は歴史でもよく発生する。
ユヴァル・ノア・ハラリのベストセラー「サピエンス全史」を読んだときは膝を打った。
人間が小麦を育てたのではなく、人間が小麦の奴隷となっていたという視点は斬新だった。
長い人間の歴史を振り返れば、社会の変遷はあるが、人間はずっと使役されていたとも言える。
・農業社会:小麦や米に使役される
・工業社会:工場に使役される
・商業社会:会社に使役される
・情報社会:アルゴリズムやAIに使役される?
情報社会はパソコン、インターネット、スマホ、AIと段階を経ているが、AI時代も細分化すれば、以下のような進化を辿るのではないだろうか?
・AI 1.0 道具 人間が操作
・AI 2.0 アシスタント 人間を補助
・AI 3.0 エージェント 指示された仕事を自律遂行
・AI 4.0 フィジカルAI 現実世界で作業
・AI 5.0 自律的主体 人間の指示すら不要?
今はAI 3.0の勃興期だから、まだまだだけど、これから少しずつ本格的になるだろう。
会社員がパソコンのモニターを見てやっている「仕事」は、AIの大好物だ。いつまでも、そんな仕事が残されるかは怪しい。
しかし、フィジカルAI(ヒューマノイド)の本格的な登場までは時間を要するのかもしれない。ここで停滞期やバブル崩壊が一時的に発生するのだろうか?
そして、AI 3.0とAI 4.0の間で、人間がAIのエージェントになる時代になりそうな予感がしている。それまでの繋ぎ役として、人間がAIの手足となって使役される時代があると予想する。この過渡期をAI 3.5とでも名付けようか。
AIが身体と接続したAI 4.0の時代になれば、ブルーカラー労働もいよいよ怪しくなってくる。
さらに、AI 5.0まで進めば、AI自身が労働者から資本家となり、人間の株式会社すら必要としない「AI資本主義」が生まれるのかもしれない。そこまで行くと、もはやSFの世界である。
しかし、そこまで遠い未来を想像しなくてもいい。もっと近い未来にありそうなのが、AI 3.0とフィジカルAIであるAI 4.0をつなぐ「AI 3.5」だ。
AIが考え、人間に指示を出し、人間が現実世界で作業する。
これまで私たちは、AIエージェントが人間の手足となって働く未来を想像してきた。しかし、フィジカルAIが十分に普及するまでの過渡期には、その関係が逆転するのかもしれない。
AIが人間のエージェントになるのではない。人間がAIのエージェントになる。スマホに表示された指示に従って現場へ向かい、AIにはできない最後の物理作業を人間が処理する。
これが「人間エージェント」だ。物流や配送、設備管理など、仕事を細かく分解しやすい分野から急速に進みそうだ。
しかし、未来はHAL9000ほど劇的にはやってこないだろう。もっと便利に、もっと合理的に、そして誰も主客が逆転したことに気づかないままやってくるのかもしれない。
現代のスマホ奴隷時代のように。