page173: MY LIFE WITHOUT ME
2003年公開と少し古いけど、"MY LIFE WITHOUT ME"という映画が好きだ。
カナダとスペインの合作という、少し珍しい映画だ。
当時は日本でも少し話題になったっけ。
邦題の「死ぬまでにしたい10のこと」は、個人的には好きではない。
もっと原題に忠実でも良かったのではないかと思う。
そのまんまで「私のいない私の人生」とかでもよかったと思う。
23歳の若さで末期癌になり、余命2ヶ月を告げられたアンという女性が、その残された僅か2ヶ月で自分がやりたい10のことをやり遂げたストーリーだ。「バケットリスト」のような無邪気な内容とは真逆の悲壮感たっぷりの話だ。
詳細は覚えていないが、こんな感じのリストだったようだ。
1.Tell my daughters I love them several times a day.
2.Find Don a new wife that the girls will like.
3.Record birthday messages for each of my daughters until they turn 18.
4.Go to Whalebay Beach and have a big picnic.
5.Smoke and drink as much as I want.
6.Say what I'm thinking.
7.Sleep with another man, just to see what it’s like.
8.Make someone fall in love with me.
9.Go and see my father in prison.
10.Get false nails and do something with my hair.
バケットリストというと、「オーロラを見る」とか「スカイダイビングをする」といった、非日常的でわかりやすい体験が並びがちだ。しかし、アンのリストはずいぶん違う。娘に愛していると伝える。夫の次の妻を探す。思ったことを口にする。爪をつけ、髪型を変える。
人生の終わりが本当に見えてしまった人間が望むものは、案外そんな些細な日常の中に転がっているのかもしれない。
人生は長期軸で考える必要がある。
しかし、寿命という変数は誰にもわからない。この映画のアンのように23歳、もっと若い年齢で亡くなる運命の人もたくさんいる。
だから、優先度の高いことから、やっていかなければならないのだと思う。
現代の日本では、日常生活の中で死を意識する機会がずいぶん減った。
もちろん、それ自体は幸福なことだと思う。
しかし、その反作用なのか、自分の人生にも終わりがあるという当たり前の事実まで、どこか遠い未来のことのように感じるようになった。「人生百年時代」という言葉もそうだ。人生が百年になったのではない。百年生きる人もいるというだけで、自分が何歳まで生きるかなど誰にもわからない。
死を意識するからこそ、生を意識できる。
百年も生きられるのかと思えば、緊張感などなくなり、生きている実感も薄くなる。
濃く短い人生、薄く長い人生は好き好きだが、薄く短い人生は最悪だろう。